こんにちは、garesuです。
ウイスキーについてお伝えしますね。

一杯のウイスキーには、長い歴史と職人たちの情熱が詰まっています。
スコットランドの風土が生んだシングルモルト、アイルランドの滑らかさ、アメリカンバーボンの力強さ、そして近年世界中から注目を集める日本のクラフトウイスキー。それぞれのウイスキーには個性があり、飲むたびに新しい発見があります。
ウイスキーとは
ウイスキーとは、大麦やライ麦、トウモロコシなどの穀物を原料とし、発酵・蒸留・熟成を経て造られる蒸留酒の一種です。
その名前はゲール語の「命の水(uisge beatha)」に由来し、長い歴史の中で世界中の人々に親しまれてきました。
ウイスキーの起源
18世紀のスコットランドが起源だとされています。
当時ウイスキー製造に課された重税を逃れるために、ウイスキーを山奥で密造して木樽に隠して保存したといわれています。
19世紀以降スコットランドでのウイスキーづくりが活性化して、大麦麦芽のみでつくるモルト・ウイスキーのほか、
トウモロコシなどの穀物からつくるグレーン・ウイスキー、それらをブレンドしたブレンデッド・ウイスキーがうまれました。
やがて世界中に広まり、各地で多様なウイスキーがつくられるようになりました。
特にスコットランドやアイルランド、アメリカ、カナダ、日本のウイスキーは世界五大ウイスキーといわれています。
- スコッチウイスキー(Scotch):スコットランド産。ピート(泥炭)の香りが特徴のものも多く、シングルモルトやブレンデッドが存在します。
- アイリッシュウイスキー(Irish):アイルランド産。ピート(泥炭)を使わず、香り高くすっきりとした味わいが特徴
スコッチ・ウイスキーは一般的に単式蒸留器で2回蒸留しますが伝統的なアイリッシュ・ウイスキーは3回蒸留するといわれていますが現在はそうとは限らないと‥ - アメリカンウイスキー(バーボンウイスキー・テネシーウイスキー):ライ麦が原料のライ・ウイスキーやトウモロコシが原料のコーン・ウイスキーなどがある。
主にケンタッキー州でつくられるバーボン・ウイスキーと、テネシー州でつくられるテネシー・ウイスキーが有名 甘みのある味わいが特徴。
- カナディアンウイスキー:ライ麦などが主原料のフレーバリング・ウイスキーとトウモロコシなどが主原料のベース・ウイスキーをブレンドするのが一般的です。華やかな香りと軽快な飲み口が特徴です。カクテルのベースにもつかわれています。
- ジャパニーズウイスキー:スコッチ・ウイスキーを手本にしてつくられはじめました。スコッチと同様にブレンデッドとシングルモルトが主流ですが、スモーキーさは控えめです。繊細でバランスのとれた味わい。世界的にも高い評価を受けています。
ウイスキーの魅力は、熟成年数や樽の種類、産地、原料によって大きく味や香りが異なる点にありますね。
ウイスキーの原料
ウイスキーは、シンプルな素材から造られますが、その組み合わせや製造方法によって多様な味わいが生まれます。
穀物
ウイスキーのベースとなる主原料です。種類によって味わいや香りが大きく変わります。
- 大麦(モルト):特にシングルモルトウイスキーに使われます。麦芽にしてから糖化・発酵。深いコクや香ばしさを生み出します。
- ライ麦:スパイシーでシャープな風味が特徴。カナダやアメリカのライウイスキーに多く使われます。
- トウモロコシ:アメリカン・バーボンの主原料(法律上51%以上)。甘く丸みのある風味。
- 小麦:柔らかくマイルドな口当たりを生みます。一部のブレンデッドやクラフトウイスキーで使用。

水
ウイスキー造りに欠かせない存在。仕込み水の質が、味に大きく影響します。山の湧水や軟水など、地域ごとの個性が出ます。

酵母
糖分をアルコールと炭酸ガスに変える微生物。発酵の際に香味成分も生み出し、フルーティーな香りやスパイシーさのもとになります。
原料に加え、「樽による熟成」や「蒸留方法」などがウイスキーの個性を形づくります。
ウイスキーの製造工程 (モルトウイスキー)
ウイスキー造りは、自然と職人さんの技が融合した繊細なプロセスです。
製麦
大麦を水に浸して発芽させ、酵素を活性化。その後、発芽を止めるために乾燥させます。ここでピート(泥炭)を焚いて燻すと、スモーキーな香りがつきます。

泥炭(でいたん)とは‥ヘザーやヒースなどの植物が何年もかけて堆積したもの。
スコットランドでは、ウイスキーの原料である大麦麦芽の乾燥に使われてきました。
糖化
乾燥させた麦芽を粉砕し、お湯と混ぜて糖分を抽出。できた甘い液体(ウォート)を濾し取ります。
発酵
ウォートに酵母を加え、アルコール発酵を行います。2~3日でビールのような低アルコールの液体(ワッシュ)ができます。
蒸留
銅製ポットスチルで通常2回(スコッチ)、または3回(アイリッシュ)蒸留。アルコール濃度を高め、不要な成分を取り除きます。
熟成
蒸留液をオーク樽に詰めて、最低3年間(スコッチ・日本では法律上の基準)熟成。樽の種類や保管環境により、色・香り・味わいが深まります。
ブレンド・瓶詰
シングルモルトなら同一蒸留所の複数樽をブレンド、ブレンデッドウイスキーなら他のモルトやグレインと混ぜて味を調整。その後、瓶に詰めて出荷されます。
ウイスキーは長い時間と多くの手間をかけて造られる、まさに「職人の芸術品」ですね。
ウイスキーの分類表(主要なタイプと特徴)
分類 | 主な原料 | 特徴・製法 | 主な生産国 | 備考 |
---|---|---|---|---|
シングルモルト | モルト(大麦麦芽) | 一つの蒸留所で造られたモルトのみ使用 | スコットランド、日本 | 味わい深く個性が強い |
ブレンデッドモルト | モルト | 複数の蒸留所のモルトをブレンド | スコットランド、日本 | シングルモルトの調和 |
グレーン | トウモロコシ、ライ麦、小麦など | 連続式蒸留器で製造、軽やかな味わい | スコットランド、日本、アメリカ | 単体で飲むよりブレンド用途が多い |
ブレンデッド | モルト+グレーン | モルトとグレーンを混合 | 多くの国 | バランス良く飲みやすい |
バーボン | トウモロコシ(51%以上) | 新樽で熟成。甘みがあり力強い | アメリカ(ケンタッキー) | 法律で製法が厳格に規定 |
テネシー | トウモロコシ主体 | チャコールメローイングで濾過 | アメリカ(テネシー) | ジャックダニエルで有名 |
ライウイスキー | ライ麦(51%以上) | スパイシーでドライな風味 | アメリカ、カナダ | カクテルにもよく使われる |
アイリッシュ | 大麦+穀物 | 3回蒸留、滑らかな味わい | アイルランド | 苦みが少なくマイルド |
ジャパニーズ | 大麦中心 | スコッチの製法に影響を受ける | 日本 | 繊細でバランス重 |

いかがでしたか?
ウイスキーは、時間と共に味わいが深まる不思議な飲み物です
素敵なウイスキーライフをお過ごしください。
参考文献
「発酵食品ソムリエ講座テキスト1 伝統的な和食と日本の発酵文化」U-CAN
「発酵食品ソムリエ講座テキスト2 世界にひろがる発酵食品と健康」U-CAN
「発酵食品を楽しむ教科書」 ナツメ社