こんにちは、garesuです。
前回の続きになります。醤油ができるまでをお伝えしますね。
まずは原料から。
原料
醤油の基本的な原料は4つです。
大豆:醤油の風味と旨味の源。蒸した大豆が使用されます。 ※豆を丸ごと使う丸大豆とコストが安く分解効率がよい脱脂大豆(脱脂加工大豆)があります。

脱脂大豆とは‥油脂を抜き取った脱脂加工大豆のこと。
丸大豆で造られた醤油はまろやかな味に仕上がりますが、原料費が高くなるので高級品とされています。
小麦:醤油に甘味と香ばしさを与えるために、焙煎した小麦が使われます。
塩:防腐剤の役割を果たすとともに、醤油の味を引き締めます。
水:発酵を進めるための水分を供給します。
製造工程
醤油の製法はJAS規格によって「本醸造方式」「混合醸造方式」「混合方式」の3種類に分類されます。
現在国内で生産されている濃口醤油の約8割は本醸造方式でつくられています。
本醸造方式
本醸造方式は、醤油の製造における伝統的かつ最も一般的な方法です。
天然の発酵プロセスを重視しており、風味豊かな醤油を作るために長期間の発酵と熟成を行います。
原料の準備
大豆:水で浸して蒸した大豆を使用します。これにより大豆が柔らかくなり、麹菌が作用しやすくなります。

小麦:小麦は焙煎して細かく砕かれます。これにより、醤油に独特の香ばしさと甘みが加わります。

塩:発酵をコントロールするための防腐剤としても使用されます。

麹(こうじ)作り
- 蒸した大豆と焙煎した小麦に麹菌を加えます。この麹菌が、大豆と小麦のたんぱく質やデンプンを分解してアミノ酸や糖分を生成します。
- この過程は数日間続き、「もろみ麹」が完成します。
もろみ発酵
作られたもろみ麹に塩水を加え、発酵タンクに移します。これが「もろみ」と呼ばれるものです。
発酵期間は数ヶ月から1年かかり、麹菌だけでなく酵母や乳酸菌も働きます。
- 酵母は糖を分解してアルコールを生成し、独特の風味を与えます。
- 乳酸菌は酸を生成し、全体のバランスを整えます。
発酵期間中、発酵の進行を促進するために温度管理を行い、タンク内で定期的にかき混ぜます。
圧搾(あっさく)
発酵が完了したもろみは、布に包んで圧搾し、液体と固形物に分けます。
この液体が生醤油です。圧搾はゆっくりと行われ、自然に液体を絞り出すため、風味が損なわれません。
火入れ(加熱殺菌)
生醤油を加熱して殺菌し、発酵を止めるとともに、香りや色、風味を安定させます。
この工程で醤油の色が濃くなり、香ばしい香りが生まれます。
熟成
火入れ後の醤油はさらに数ヶ月熟成させ、風味を深めます。
熟成の長さにより、醤油の味わいがさらに豊かになります。
ろ過と瓶詰め
最後に、醤油をろ過して不純物を取り除き、瓶詰めされて出荷されます。
混合醸造工程
混合醸造方式は、伝統的な本醸造方式と比べて短期間で醤油を製造できる方法です。
この方法は、本醸造の醤油にアミノ酸液を加えることで、発酵の時間を短縮しながらも、醤油の風味を一定程度保つよう工夫されています。
原料の準備
大豆・小麦:本醸造方式と同様に、大豆を蒸して、小麦を焙煎したものを使用します。
アミノ酸液:この方法では、アミノ酸液(大豆を酸で加水分解して作った液体)を使用します。アミノ酸液は大豆たんぱく質を化学的に分解して作られ、短期間で旨味成分を得るために用いられます。
麹(こうじ)作り
大豆と小麦を混ぜ、麹菌(Aspergillus oryzae)を加えて麹を作ります。この工程は本醸造方式と同様に行われ、発酵の準備が整います。
もろみ発酵
作った麹に塩水を加えて「もろみ」を作ります。
ここで短期間発酵させますが、本醸造方式に比べて発酵期間は短めです(数週間から数ヶ月程度)。
発酵が短期間であるため、この時点での風味や旨味の形成は本醸造に比べて軽くなります。
アミノ酸液の混合
発酵したもろみに、あらかじめ作成したアミノ酸液を加えます。
このアミノ酸液は、大豆たんぱく質を酸で分解し、化学的にアミノ酸を生成したものです。これにより、発酵の期間が短くても、醤油に必要な旨味成分を補充します。
圧搾・火入れ
発酵が終わると、もろみを圧搾して液体部分を抽出し、固形物と分けます。
次に、液体を加熱処理(火入れ)して、殺菌とともに発酵を止め、色や風味を安定させます。
瓶詰め・出荷
最終的に醤油をろ過して不純物を取り除き、瓶詰めして市場に出荷します。
混合方式
醤油の混合方式は、アミノ酸液や加水分解された原料を本醸造の醤油と混ぜ合わせることで、短期間で効率的に醤油を製造する方法です。この製法では、天然発酵の工程を省略または短縮しながらも、醤油としての風味や色合いを維持しやすくなります。
アミノ酸液の生成
アミノ酸液は、大豆や脱脂大豆などの原料を酸で加水分解し、アミノ酸(旨味成分)を生成します。これは、天然の発酵過程で得られるアミノ酸を人工的に作るための方法です
。酸を使ってたんぱく質を分解するため、短時間でアミノ酸が得られます。この方法により、伝統的な発酵プロセスのように時間をかける必要がありません。
本醸造醤油との混合
アミノ酸液を使用した後、この液体を本醸造で作られた醤油と混ぜ合わせます。本醸造の醤油は自然な発酵過程を経ているため、醤油としての風味や深みを持っていますが、混合方式ではその風味をベースにアミノ酸液を補完材料として使用します。
この混合により、醤油独特の旨味を短期間で強化することができます。
火入れ(加熱処理)
混合された醤油は、加熱処理を行って発酵を止め、保存性を高めます。加熱処理により、醤油の色や香りも安定します。
瓶詰めと出荷
火入れが完了した後、最終的に瓶詰めされ、出荷されます。
いかがでしたか?
次回は醤油のおいしさと機能や効果をお伝えしますね。