【パンの製法 発酵食品】

こんにちは、garesuです。

パンの製法についてお伝えしますね。

発酵パンは、粉、酵母、塩、水など原料を混ぜてつくった「ドウ」とよばれる生地を発酵させて焼いたものです。

発酵パンの製法には、直捏法(じかごねほう)と発酵種法(はっこうだねほう)があります。

発酵種法中種法(なかだねほう)や、サワー種法などに分類されます。

直捏法(ストレート法)

直捏法はすべての材料を一度に混ぜ合わせてこねる製法です。

生地の仕込みが1回で済み作業の内容が簡単で発酵時間も比較的短いです。

ただ、生地の修正が難しく、生地の良い悪いがそのままパンに出てしまいます。
発酵・熟成時間が短いため、デンプンの老化が早く、日持ちはしないです。

大量生産よりも、小規模製造に向きます。

発酵種法

発酵種法は、パンの発酵に使用する酵母や菌の働きを高め、風味や食感を向上させるための技法です。

発酵種(はっこうだね)はパンの生地を作る前に、あらかじめ小麦粉や水、酵母などを混ぜて発酵させておくことで、より豊かな風味や複雑な香りを生み出します

発酵種法にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。

中種法(なかだねほう)

パン作りにおける発酵法の一つで、パン生地を二段階に分けて発酵させる方法です。

この手法は、パンの風味や食感を向上させるために使われ、特にふんわりとした柔らかいパンを作るのに適しています。

中種法は日本の食パンや菓子パンの製造でよく使用される発酵法です。

中種法の手順

  1. 中種の準備
    • 中種は、小麦粉の一部、酵母、水を混ぜて作ります。レシピによっては、少量の砂糖や塩を加える場合もあります。
    • この中種をしっかりとこねた後、約2〜4時間、または一晩ほど発酵させます。発酵時間は気温や湿度によって異なります。
  2. 本ごね(本生地作り)
    • 発酵した中種に、残りの材料(小麦粉、砂糖、バター、塩など)を加え、最終的なパン生地を作ります。
    • 中種が既に発酵しているため、この段階では二次発酵の時間が短くなります。
  3. 二次発酵
    • 中種を使って本生地をこねた後、成形してさらに発酵させます。この発酵は通常、短時間(1〜2時間程度)で済みますが、パンの形状や環境によって調整します。
  4. 焼成
    • 二次発酵が終わったら、オーブンで焼き上げます。中種法を使ったパンは、焼き上がりがふんわりしており、しっとりした食感が特徴です。

中種法の利点

  1. 風味の向上:中種を発酵させることで、生地に複雑で深い風味が生まれます。特に、酵母がじっくりと働くため、パンに自然な甘みや香りが加わります。
  2. しっとりとした食感:中種法を使うと、パンがふんわりと柔らかく仕上がり、またしっとり感が長持ちするため、保存性も良くなります。特に日本の食パンや菓子パンのような、ソフトでしなやかな食感を求めるパンに最適です。
  3. 発酵の安定性:中種法は二段階で発酵させるため、イーストの発酵をコントロールしやすく、環境に左右されにくいという利点があります。特に湿度や温度が変わりやすい場合でも、比較的安定して美味しいパンが作れます。

中種法の欠点

  1. 手間と時間がかかる中種法は、通常のパン作りに比べて発酵の工程が多く、時間がかかります。特に中種の発酵に数時間から一晩かかるため、計画的なパン作りが必要です。
  2. 技術が必要:中種法を成功させるには、発酵のタイミングや温度管理が重要です。中種の発酵が不足すると風味が出にくく、逆に過発酵すると酸味が強くなってしまうことがあります。

中種法が使われるパンの種類

  • 食パン:日本の柔らかくしっとりした食感の食パン作りに最適です。中種法を使うことで、ふわっとした口当たりが得られます。
  • 菓子パン:あんぱん、クリームパン、メロンパンなど、甘みやバターなどの脂肪分を含んだリッチなパンにもよく使われます。
  • フランスパン(一部):フランスパンのようなハード系のパンにはあまり使われませんが、風味を重視する一部のレシピでは中種法を応用することもあります。

サワー種法(サワードウ法)

天然酵母や乳酸菌を使ってパンを発酵させる伝統的な製法の一つで、特にヨーロッパやアメリカで広く使われています。

この方法で作られるパンは、独特の酸味と深い風味を持ち、通常のイーストパンとは異なる食感や香りが楽しめます。

サワードウ(Sourdough)パンは自然発酵により、保存性や健康効果も高いとされています。

サワー種法の特徴

  1. 天然酵母と乳酸菌の利用:サワー種法では、市販のイーストを使わず、自然界に存在する野生酵母乳酸菌を利用します。小麦粉と水を混ぜ、数日間発酵させて「スターター(種)」を作り、それを用いて生地を発酵させます。このスターターには、パンを発酵させる酵母だけでなく、乳酸菌も含まれており、パンに特有の酸味を与えます。
  2. 独特の酸味:サワー種法のパンは、発酵の過程で生成される乳酸酢酸によって独特の酸味が生まれます。この酸味の強さは、発酵時間や温度、乳酸菌と酵母のバランスによって異なり、パンに複雑な風味を与えます。
  3. 長時間発酵:天然酵母の働きは市販のイーストに比べて遅いため、サワー種法で作るパンは通常、数時間から一晩(あるいはそれ以上)の発酵時間が必要です。この長時間の発酵によって、パンの風味が豊かになり、もっちりした食感やカリッとしたクラストが生まれます。
  4. 健康効果:サワードウパンは、発酵の過程で生成される乳酸菌やその他の微生物の働きによって、消化がしやすく、栄養吸収が促進されると言われています。また、乳酸菌による低pH環境がパンの保存性を高め、腐敗を防ぎやすくなります。

サワー種法の手順

  1. サワー種(スターター)の準備
    • 小麦粉と水を混ぜて室温で放置し、自然に発酵させます。これにより、空気中や小麦粉に含まれる野生酵母や乳酸菌が育ちます。通常、数日間かけてこのサワー種(スターター)を育てます。
    • 毎日少量の小麦粉と水を加えながら、スターターが元気に発酵するように管理します。
  2. 本生地の仕込み
    • 十分に発酵したサワー種を一部取り分け、これに小麦粉、水、塩を加えて本生地を作ります。生地の材料を混ぜた後、こねて一次発酵を行います。
    • 一次発酵には通常数時間から一晩かかり、その間に酵母と乳酸菌が働き、パンの風味が育まれます。
  3. 成形と二次発酵
    • 一次発酵が終わったら生地を成形し、さらに発酵させます。二次発酵の時間はレシピや気温に応じて変わりますが、通常は数時間です。
  4. 焼成
    • 十分に発酵したら、オーブンで焼き上げます。サワードウパンはクラスト(外皮)が非常にカリッと仕上がりやすく、中はもちもちとした食感が特徴です。

サワー種法の利点

  1. 風味の豊かさ:サワー種法を使ったパンは、酵母と乳酸菌の相乗効果によって非常に豊かな風味が生まれます。市販のイーストでは得られない複雑な香りや、軽い酸味が特徴です。
  2. 消化しやすい:発酵の過程で酵母や乳酸菌が小麦のデンプンやタンパク質を分解するため、消化がしやすいとされています。また、グルテンが分解されるため、グルテンに敏感な人でも食べやすい場合があります。
  3. 保存性の向上:サワードウパンは乳酸や酢酸によって酸性度が高くなり、腐敗しにくいです。保存期間が長くなるため、保存中も風味が落ちにくいです。
  4. 低GI食品:サワードウパンは消化吸収がゆっくりで、血糖値の上昇を抑える低GI食品としても知られています。糖質の吸収がゆっくりであるため、ダイエットや糖尿病の管理に適していると言われています。

サワー種法の欠点

  1. 発酵時間が長い:サワー種法は、市販のイーストを使ったパンに比べて発酵に時間がかかります。スターターを作るには数日から一週間以上かかることがあり、計画的な作業が必要です。
  2. 管理が必要:スターター(サワー種)は定期的に新しい小麦粉と水を与えながら管理する必要があります。長期保存する場合は、冷蔵庫で保管し、使用時に再度活性化させる作業が必要です。

サワー種法で作られるパンの種類

  1. カンパーニュ:フランスの伝統的な田舎パン。サワードウを使うことで、外はカリッと、中はしっとりもちもちとした食感になります。
  2. サワードウブレッド:アメリカで人気のパン。酸味が強めで、独特の風味が特徴です。長時間の発酵により、深い味わいが楽しめます。
  3. ライ麦パン:ドイツや北欧でよく食べられるパンで、サワー種とライ麦を使って作ることが多いです。酸味とライ麦の風味がマッチし、香ばしい仕上がりになります。

酒種法(さかだねほう)

日本独自の伝統的なパン発酵法の一つで、「酒種(さかだね)」と呼ばれる酒を発酵させた種を使ってパンを発酵させる方法です。

主に日本で昔から親しまれており、特に米麹や蒸し米を使って作ることが特徴です。パンだけでなく、酒まんじゅうや蒸しパンの発酵にも使われることがあります。

酒種法の特徴

  1. 日本酒や麹を使用:酒種法は、日本酒の発酵技術に由来しており、酒を発酵させる際に用いられる米麹蒸し米酵母が使われます。この酒種から得られる酵母が、パン生地を発酵させ、独特の風味とやわらかさを与えます。
  2. 甘みと風味が豊か:酒種は、日本酒の風味や麹由来の甘みを持っており、これを使って発酵させると、パンに自然な甘みと風味が加わります。特に、ほんのりとした米の甘さや香ばしさが特徴的です。
  3. 天然の発酵:市販のドライイーストを使う発酵法と異なり、酒種法は天然の酵母を使うため、発酵がゆっくりと進みます。そのため、パンの風味が深まり、ふんわりとした食感が得られます。

酒種の作り方

酒種法で使う「酒種」は、日本酒を作る過程と同様に、米や麹を使って作ります。以下は基本的な酒種の作り方の流れです。

  1. 米麹と蒸し米の準備
    • 米を蒸して、麹菌を混ぜ合わせます。これが酒種のベースになります。
  2. 発酵
    • 米麹と蒸し米に水を加え、適度な温度で発酵させます。これにより、麹菌が糖分を分解し、発酵が進み、酵母が生成されます。
    • 発酵に数日かけて、独特の酒の香りを持つ「酒種」が出来上がります。
  3. スターターとしての利用
    • この酒種をパン生地に混ぜ、一次発酵を行います。発酵には時間がかかるため、じっくり待つことが必要です。酒種はパンの発酵に力を与え、風味豊かな仕上がりを作ります。

酒種法の手順

  1. 酒種の準備
    • 上記の方法で酒種を作り、発酵が完了したら、パン作りに使用します。家庭での使用では、酒種を保存しておき、適宜活性化させながら使います。
  2. 本生地の作成
    • 酒種を加え、小麦粉、水、砂糖、塩、油脂などを混ぜて生地を作ります。特にあんぱん蒸しパンなどに使われることが多いです。
  3. 発酵と焼成
    • 酒種の発酵力により、ゆっくりと時間をかけて発酵させます。一次発酵の後、生地を成形し、二次発酵を行ってから焼き上げます。発酵がゆっくりなため、発酵時間は長めに取る必要があります。

酒種法の利点

  1. 風味豊かな仕上がり:酒種法で作られるパンは、日本酒や米麹の風味がほのかに香り、豊かな甘みを持っています。特に、パンに柔らかくしっとりとした食感が加わるため、伝統的な日本の味わいを楽しめます。
  2. 保存性の向上:酒種を使ったパンは、天然酵母の働きにより、時間が経っても風味が保たれ、保存性が良いです。特に酒まんじゅうなどは、日持ちがしやすい特徴があります。
  3. 添加物を使わない自然な発酵:酒種法は、天然の材料で作られた酵母を使用するため、添加物を使わず、自然な発酵を促します。これにより、体に優しいパン作りが可能です。

酒種法の欠点

  1. 発酵に時間がかかる:酒種法は、天然の発酵力を活かした方法のため、市販のドライイーストを使う方法に比べて発酵に時間がかかります。計画的な作業が必要です。
  2. 手間がかかる:酒種を作るには、米麹や蒸し米の準備、発酵管理などの手間がかかるため、初心者には少し難易度が高い場合があります。また、酒種自体を管理する必要があるため、定期的なメンテナンスが必要です。

酒種法で作られるパンの例

  1. 酒種あんぱん:酒種を使ったあんぱんは、ふんわりとした生地に、ほんのりとした酒の風味が加わり、特有の甘さが特徴です。
  2. 酒種食パン:柔らかく、もっちりとした食感が特徴で、ほんのり甘く、香り豊かな食パンが作れます。
  3. 酒まんじゅう:日本の伝統的な蒸し菓子で、酒種を使ってまんじゅうの生地を発酵させます。ふんわりとした食感が特徴です。

いかがでしたか?

世界中で食べられている身近な発酵食品のパンのことをお伝えしました。

日本国内でも世界中のパンが楽しめますね。パン屋さんへ行く時はいつもワクワクするのは私だけでしょうか?


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