こんにちは、garesuです。。
世界中で日常的に食べられているパンは、最も身近な発酵食品のひとつです。
穀物の粉に(イースト)、水などを加えてこね、できた生地を発酵させて焼いたものがパンです。
パンは人類の歴史において古い段階からつくられヨーロッパを中心に世界各地で特色あるパンがつくられています。
パンの種類は5000を超えるといわれています。

パンの歴史
パンの起源
パンの起源は非常に古く、約6000年以上前にさかのぼります。
古代メソポタミアやエジプトがその発祥地とされています。
最初のパンは、ただのすりつぶした穀物を水で混ぜて焼いたもので、現在のような膨らんだパンではありませんでした。
無醗酵パン(種無しパン)
エジプト人が紀元前4000年ごろ、自然発酵の技術を発見し、酵母を利用してパンを膨らませる技術を開発したと言われています。
醗酵パン
この技術は、その後世界中に広まり、現在のパンの基盤となっています。
醗酵パン・無醗酵パン
醗酵パン
発酵パンは、酵母や天然酵母などの微生物を使って生地を膨らませるパンのことです。
酵母は糖分を分解し、二酸化炭素とアルコールを生成します。二酸化炭素が生地の中に小さな気泡を作り、生地が膨らんで柔らかい食感を生み出します。
特徴
- ふんわりとした食感:発酵によって生地が膨らむため、軽くて柔らかい食感になる。
- 風味が豊か:発酵による複雑な風味が特徴で、特に長時間発酵させると深い味わいが出る。
- 代表的な種類:バゲット、サワードウ、食パン、クロワッサンなど。
無醗酵パン
無発酵パンは、酵母や発酵プロセスを使わないで作るパンのことです。このパンは、膨らませるためにベーキングパウダーやベーキングソーダなどの化学的な膨張剤を使用するか、何も使わずに作ります。そのため、発酵パンに比べて平らで、密度の高い食感になります。
特徴
- 平たい形状:発酵によって膨らまないため、薄く平たいパンが多い。
- しっかりとした食感:生地が密度高く、噛みごたえがある。
- 簡単に作れる:発酵の時間が必要ないため、比較的短時間で作ることができる。
- 代表的な種類:マツォ(ユダヤ教の儀式で用いる無発酵パン)、チャパティ、トルティーヤ、クラッカーなど。
日本のパンの歴史
本のパンの歴史は比較的短く、16世紀に遡ります。
パンは、日本に西洋文化が流入する過程で持ち込まれましたが、定着するまでには長い時間がかかりました。
初めてのパンの到来:16世紀
パンが日本に初めて伝わったのは、1543年にポルトガル人によってとされています。
この時期、彼らは鉄砲とともにキリスト教や西洋文化も伝え、日本に影響を与えました。
当時、日本人にとってパンは非常に珍しく、一般的な食べ物とはならなかったものの、キリスト教の宣教師たちや外国人居住者にとっては重要な食料でした。
江戸時代:パンの存在はごく限定的
江戸時代には、パンの存在は非常に限られていました。
江戸幕府が鎖国政策を取っていたため、外国との接触が制限されていたことが要因です。
しかし、幕府はオランダと中国との貿易を長崎の出島で続けており、その際に西洋のパンも一部で見られるようになりました。
ただし、当時の日本では米が主食であり、パンは一般的には普及しませんでした。
明治時代:パンの本格的な導入
明治維新(1868年)の後、西洋文化が本格的に日本に流入しました。
政府は「文明開化」をスローガンに、西洋の技術や文化を積極的に導入し、パンもその一環として普及し始めました。
特に軍隊では、保存性が高い食べ物としてパンが採用されることが多く、兵士たちにとって重要な食料となりました。
また、一般市民の間でも次第にパンが知られるようになっていきました。

1869年(明治2年)現存する日本最古のパン屋、木村屋總本店が開業します。
1874年(明治7年)創業者の木村安兵衛らが「酒種」※さかだね と呼ばれる酵母を使ったあんぱんをつくり大ヒット商品になりました。

昭和時代:パンの普及
第二次世界大戦後、日本は食料不足に直面し、小麦粉を使ったパンが主食として注目を集めました。
アメリカの影響もあり、学校給食にパンが導入されるようになり、これによって多くの子どもたちがパンを日常的に食べるようになりました。
昭和30年代(1950年代後半)には、パン屋が全国的に広がり、さまざまな種類のパンが販売されるようになりました。
特に日本では、独自のアレンジが加えられた「菓子パン」や「総菜パン」が発展しました。あんぱん、カレーパン、メロンパンなど、日本特有のパンが誕生し、今では日本人に非常に親しまれています。
現代の日本におけるパン
今日の日本では、パンは多くの人々の日常生活に欠かせない食べ物となっています。
日本にはパン専門店やベーカリーが多くあり、フランスやドイツ、イタリアなど各国のパンが楽しめるほか、コンビニエンスストアでも手軽にパンを購入することができます。
さらに、伝統的な和の食材や調味料を取り入れた日本独自のパンも進化を続けています。

パンの種類
世界全体には5000種類を超えるパンがあるとされています。
ヨーロッパを中心に、世界各国のパンをお伝えします。
イギリスのパン 🇬🇧
イギリスのパンには、長い歴史と豊かなバリエーションがあります。
イギリスは穀物栽培の伝統が深く、パンはイギリス人の食生活において長年主食の一部として親しまれてきました。
ホワイトブレッド (White Bread)
ホワイトブレッドは、イギリスで広く消費されている基本的なパンです。小麦粉、酵母、塩、水を使って作られるシンプルなパンで、特にサンドイッチに使われることが多いです。イギリスの「スライスパン (Sliced Bread)」は、トーストやサンドイッチ用に予め薄くスライスされた状態で販売されているのが一般的です。
ブラウンブレッド (Brown Bread)
ホワイトブレッドと対照的に、ブラウンブレッドは全粒粉やグラハム粉など、精製度の低い小麦を使って作られたパンです。ホワイトブレッドよりも栄養価が高く、繊維が多いため、健康志向の人々に好まれています。
ソーダブレッド (Soda Bread)
ソーダブレッドは、イギリスだけでなくアイルランドでも人気のあるパンです。酵母の代わりにベーキングソーダ(重曹)を使って発酵させるため、作るのが簡単で、速く膨らむ特徴があります。伝統的には、小麦粉や全粒粉、バターミルクを使って作られ、香ばしい風味が魅力です。
コブリーブレッド (Coburg Bread)
コブリーブレッドは、丸い形が特徴的なパンで、上部に浅い切り込みが入った外見が特徴です。このパンは、もともとイギリス国内で広く焼かれ、家庭で食べられていました。外側はカリカリ、中はふわふわとしており、食事パンとして親しまれています。
ティーローフ (Tea Loaf)
ティーローフは、紅茶の時間に提供される甘いパンです。ドライフルーツがたっぷりと入っており、紅茶との相性が非常に良いのが特徴です。特にレーズンやサルタナ、スパイスが効いていることが多く、トーストしてバターを塗って食べることが一般的です。
ホットクロスバン (Hot Cross Bun)
ホットクロスバンは、イースターの時期に特に食べられる伝統的なパンです。甘いスパイスが効いたパン生地に、レーズンやカラントなどのドライフルーツが練り込まれています。パンの上には十字架の模様が入っており、これがキリスト教におけるイエス・キリストの十字架を象徴しているとされています。
バプ (Bap)
バプは、柔らかくて軽いパンロールの一種で、ハンバーガーやサンドイッチによく使われます。比較的バターやラードが多く含まれているため、しっとりとした食感が特徴です。北イングランドやスコットランドでは特に人気があります。
マルティローフ (Malt Loaf)
マルティローフは、マルツ(麦芽)を使った甘いパンで、非常にしっとりとした食感が特徴です。レーズンや他のドライフルーツが練り込まれ、少しねっとりとした噛みごたえがあります。紅茶やバターと一緒に食べることが一般的で、軽食やおやつとして人気があります。

スコーン (Scone)
厳密にはパンではないものの、イギリスのアフタヌーンティーには欠かせないスコーンも挙げておきます。スコーンはバター、牛乳、ベーキングパウダーを使って作られる小さなパンで、クリームやジャムを添えて食べるのが伝統的です。スコーンは甘いものだけでなく、プレーンなものやチーズ入りのものもあります。

サワードウ (Sourdough)
サワードウブレッド(酸味のある発酵パン)は、近年の健康志向の高まりとともに、イギリスでも人気が急上昇しています。天然酵母を使ってゆっくりと発酵させることで独特の酸味と風味が生まれ、外はパリッと、中はしっとりとした食感を楽しむことができます。
フラットブレッド (Flatbread)
フラットブレッドは、平たく焼き上げたパンで、トルティーヤやピタのような形状のものです。イギリスの多文化社会の影響で、イギリスの食卓には世界各国のフラットブレッドが取り入れられています。サンドイッチ用やディップと一緒に食べられることが多いです。
イギリスのパンは、シンプルなホワイトブレッドから、伝統的なソーダブレッドや甘いティーローフまで、非常に多様です。イギリスのパン文化は、その地域性や歴史的な背景、宗教的な祝祭日とも深く結びついており、長い歴史の中で独自の進化を遂げてきました。紅茶文化との強い関連もあり、パンはイギリスの食生活において非常に重要な位置を占めています。
いかがでしたか?
続きは次回にお伝えしますね。
