【お茶 発酵茶】

こんにちは、garesuです。

お茶といえば、私たち日本人にとって身近な存在ですが、その中でも「発酵茶」は一味違った魅力を持っています。

発酵茶は、お茶の葉を発酵させることで得られる独特の風味と香りが特徴で、緑茶や紅茶とは異なる深い味わいを楽しむことができます。

中国のプーアル茶や台湾の烏龍茶、そして日本の黒茶などが発酵茶として知られていますが、その製法や風味は地域ごとに異なり、まさにお茶の「奥深さ」を感じることができる世界なのです。

お茶は発酵の有無によって、不発酵茶半発酵茶発酵茶の3種類に大きく分類することができます。

不発酵茶は文字通り発酵をともわないお茶のことで、日本茶がこれに該当します。

茶葉を摘んだらすぐに蒸す、炒るなどの方法で加熱をします。
加熱をすると酵素の働きが失われて発酵が進みません。結果的に茶葉のフレッシュな風味や色が保たれます。茶葉もお茶の色も緑色をしています。

半発酵茶

半発酵茶とは、発酵の度合いが部分的な段階で止められたお茶のことを指します。
緑茶が不発酵茶(発酵させないお茶)であり、紅茶が完全発酵茶(完全に発酵させるお茶)であるのに対し、半発酵茶はその中間に位置します。
この製法によって、緑茶の持つフレッシュな香りと紅茶のような豊かなコクを両方楽しむことができ、バランスの取れた風味が生まれます。

最も有名な半発酵茶が烏龍茶(ウーロン茶)です。中国や台湾で広く飲まれ、茶葉の発酵具合によって軽やかなものから、濃厚で香り高いものまで、さまざまなタイプの烏龍茶が存在します。

半発酵茶の発酵度合い

半発酵茶の「発酵」とは、厳密には酸化発酵のことを指します。茶葉を摘み取った後、酸素と反応させることで酵素が働き、茶葉の成分が変化していく工程です。この発酵度合いは茶葉の種類や製法によって調整され、発酵の進み具合によって味や香りが変わります。

  • 軽発酵(発酵度10〜30%):香りが爽やかで、緑茶に近い風味。台湾の文山包種茶や中国福建省の鉄観音などがこのタイプです。
  • 中発酵(発酵度30〜50%):バランスが取れた風味とコク。台湾の凍頂烏龍茶などがこれに当たります。
  • 重発酵(発酵度50〜70%):深いコクと香りを持ち、紅茶に近い味わい。台湾の東方美人や中国の大紅袍などが該当します。

半発酵茶の製造過程

半発酵茶の製造は、緑茶や紅茶とは異なる特別な工程を経て作られます。

一般的な製造手順

  1. 摘み取り
    • 新鮮な茶葉を手摘みや機械で摘み取ります。
  2. 萎凋(いちょう)
    • 茶葉を自然乾燥させて水分を飛ばし、しおれさせます。この工程で茶葉の香りが引き出されます。
  3. 撹拌(かくはん)
    • 茶葉を軽く揉み、細胞壁を壊して酵素が活性化しやすくします。これによって発酵が始まります。
  4. 発酵停止
    • 発酵を進めたいところまで進ませた後、加熱して発酵を止めます。これが半発酵茶の最大の特徴です。
  5. 揉捻(じゅうねん)
    • 茶葉を揉むことで、形を整え、風味を茶葉の内部に閉じ込めます。
  6. 乾燥
    • 最終的に乾燥させて製品としての完成です。

半発酵茶の風味と健康効果

半発酵茶は、緑茶の清々しさと紅茶のコクを併せ持つため、様々な料理と相性が良く、特に脂っこい食事とのペアリングに適しています。また、烏龍茶は脂肪の分解を助けるとされ、食後に飲むと消化を促進する効果が期待されることから、健康茶としても人気があります。

具体的な健康効果

  • 抗酸化作用:発酵によって生成されたカテキンの一種が、体内の酸化を防ぎ、老化防止や生活習慣病予防に役立ちます。
  • 脂肪分解促進:烏龍茶ポリフェノールが脂肪の分解を促進し、ダイエット効果が期待されます。
  • 血糖値の安定:食事と一緒に飲むことで、食後の血糖値の急上昇を抑える効果があるとされています。

代表的な半発酵茶

半発酵茶はさまざまな種類があります。

  1. 烏龍茶(ウーロン茶)
    • 中国と台湾で最も有名な半発酵茶。香りが豊かで、軽やかなものから重厚なものまでさまざまな種類があります。
  2. 鉄観音(てっかんのん)
    • 中国福建省が発祥の半発酵茶。鉄観音は軽発酵で、花のような香りと豊かな風味が特徴です。
  3. 凍頂烏龍茶(とうちょうウーロンちゃ)
    • 台湾で有名な中発酵の烏龍茶。バランスが取れた甘みと香りが楽しめます。
  4. 東方美人
    • 台湾で作られる重発酵の半発酵茶。発酵度が高く、フルーティーな香りと複雑な味わいが特徴です。

発酵茶

不発酵茶、半発酵茶に対して製造過程で発酵をともない最後まで加熱処理をしないものを発酵茶とよびます。

発酵茶はさらに、酵素による酸化発酵だけでつくる酵素発酵茶と、微生物の力で発酵させる微生物発酵茶の2種類に分けられます。

酵素発酵茶(酸化発酵茶)

概要

「酵素発酵茶」は、茶葉に含まれる茶葉自体の酵素が作用し、酸化を促すことで発酵が進むお茶です。ここでの「発酵」とは、酸化を意味します。お茶の発酵度合いは、主に酵素によって進行し、茶葉内のカテキン(ポリフェノール)が酸化され、これが風味や色、香りに変化をもたらします。

酵素発酵茶の種類

  • 緑茶(不発酵茶):茶葉を発酵させず、茶葉自体の酵素の働きを加熱処理などで抑えることで、鮮やかな緑色とフレッシュな香りを保ちます。
  • 烏龍茶(半発酵茶):茶葉を部分的に酸化させることで、緑茶のフレッシュさと紅茶のコクを併せ持つバランスの良いお茶になります。
  • 紅茶(完全発酵茶):茶葉の酵素によって完全に酸化させたお茶。茶葉が黒っぽくなり、濃い色と豊かな風味を持つのが特徴です。

酵素発酵のメカニズム

  • 酵素発酵は、茶葉を摘み取った後に茶葉自体が持つポリフェノールオキシダーゼという酵素が、空気中の酸素と反応して進みます。この酸化によって茶葉の化学成分が変化し、紅茶のような独特の風味や香りが生まれます。
  • 酸化の進行具合を管理することで、半発酵茶(烏龍茶)や完全発酵茶(紅茶)などが作られます。

酵素発酵茶の代表的なもの

  • 紅茶:完全発酵させた茶で、酵素発酵によって濃い色とまろやかな甘み、複雑な香りが生まれます。
  • 烏龍茶:半発酵茶で、茶葉の酵素が部分的に酸化することで、バランスの取れた風味と香りを楽しめます。

微生物発酵茶(後発酵茶)

概要

「微生物発酵茶」は、茶葉の酵素ではなく、微生物(細菌やカビ、酵母など)が茶葉を発酵させることによって作られるお茶です。この発酵は、酵素発酵とは異なり、微生物が茶葉に働きかけて茶葉の成分を分解・変化させるものです。発酵食品としての性質が強く、味や香り、健康効果が独特で、長期保存が可能なことが特徴です。

微生物発酵茶の種類

  • プーアル茶(中国の黒茶):茶葉を微生物によって発酵・熟成させたお茶で、発酵の度合いによって「生茶」と「熟茶」に分かれます。プーアル茶は、時間が経つごとに発酵が進み、風味が深くなります。
  • 湖南黒茶:中国湖南省で作られる黒茶で、微生物発酵によって独特の風味と濃い色が特徴です。
  • 六堡茶:中国広西チワン族自治区で作られる黒茶。プーアル茶に似た製法で、長期熟成することで風味が深まります。

微生物発酵のメカニズム

  • 茶葉を摘み取った後、加湿や適度な温度管理を行うことで、**微生物(カビや細菌)**が茶葉に働きかけ、発酵が進みます。微生物は茶葉の成分を分解し、風味や色、香りを独特なものに変化させます。
  • 微生物発酵は時間がかかり、長いものでは数年かけてじっくりと熟成させることもあります。発酵が進むことで、風味が濃く、甘みや深みのある味わいになります。

微生物発酵茶の代表的なもの

  • プーアル茶(熟茶):特に中国で人気がある黒茶で、微生物発酵によって熟成される過程で、コクと甘みが生まれます。熟茶は発酵が進むことで深い風味が特徴です。
  • 六堡茶:プーアル茶に似た製法で、カビなどの微生物が関与して発酵が進み、風味に深みが増します。

酵素発酵茶と微生物発酵茶の違い

特徴酵素発酵茶微生物発酵茶
発酵メカニズム茶葉自体の酵素による酸化微生物(細菌やカビ、酵母)の働きによる発酵
発酵過程酸化が進むことで風味や香りが変化微生物が成分を分解し、熟成させる
風味の特徴軽やかなものから濃厚なものまで幅広い濃厚で複雑な風味、時間が経つごとに深まる
代表的なお茶烏龍茶、紅茶、白茶プーアル茶、湖南黒茶、六堡茶

お茶の分類表

お茶は、製法や発酵度合いによっていくつかの種類に分類されます。代表的なお茶の分類を発酵度製法に基づいた表としてまとめました。

分類発酵度代表的な茶の種類特徴
不発酵茶0%(発酵なし)緑茶(煎茶、抹茶、玉露など)酵素発酵を防ぐため、茶葉は加熱して酸化を止めます。色は緑色で、香りはフレッシュ、味はさっぱり。
半発酵茶10〜70%(部分発酵)烏龍茶(鉄観音、凍頂烏龍など)緑茶と紅茶の中間に位置し、発酵の度合いで軽やかな風味から深いコクまで多様。
完全発酵茶100%(完全発酵)紅茶(ダージリン、アッサムなど)茶葉の酵素を完全に酸化させるため、色が赤褐色になり、風味はコクと甘みが強く、香りも豊か。
後発酵茶微生物による発酵と熟成黒茶(プーアル茶、六堡茶など)微生物発酵による長期熟成で、風味が時間と共に深まる。甘みやコク、独特の発酵香が特徴。
軽発酵茶10〜30%文山包種茶、台湾烏龍茶軽やかで緑茶に近い味わい。花のような香りと爽やかな風味が特徴。
中発酵茶30〜50%凍頂烏龍茶緑茶の清々しさと紅茶のコクの中間。バランスが取れた風味。
重発酵茶50〜70%東方美人、大紅袍深い香りと濃厚なコクを持つ、紅茶に近い風味。

お茶の分類についての補足

  1. 不発酵茶(緑茶)
    • 緑茶は発酵を行わないお茶です。茶葉を摘み取った後、すぐに蒸したり炒ったりして酸化を防ぎます。緑茶には日本の煎茶玉露、中国の龍井茶などが含まれ、ビタミンCやカテキンが豊富で、健康効果が高いとされています。
  2. 半発酵茶(烏龍茶)
    • 烏龍茶は発酵の途中で発酵を止めたお茶で、発酵の度合いによって風味や香りが異なります。中国や台湾で多く作られ、軽い発酵のものは花のような香り、重い発酵のものは紅茶に近いコクがあります。
  3. 完全発酵茶(紅茶)
    • 紅茶は茶葉が完全に発酵したお茶で、茶葉の色が黒く、抽出したお茶は赤褐色になります。甘みや渋み、深いコクが特徴で、イギリスやインドで特に親しまれています。
  4. 後発酵茶(黒茶)
    • 後発酵茶は、茶葉を発酵させた後、さらに微生物によって発酵・熟成させるお茶です。時間が経つごとに風味が変わるのが特徴で、代表的なものにプーアル茶があります。独特の香りと深みのある味わいが楽しめます。

発酵度によるお茶の違い

  • 発酵度が低いお茶ほど、茶葉の新鮮な風味やビタミンが多く残り、爽やかな味わいが特徴です(例:緑茶)。
  • 発酵度が高いお茶ほど、風味が豊かで、香りやコクが強くなります。(例:紅茶、黒茶)
  • 半発酵茶は、その中間のバランスを持ち、発酵度に応じて多様な風味を楽しめるため、幅広いバリエーションがあります。

いかがでしたか?

お茶は、製造方法や発酵度合いによって多様な種類があり、それぞれ異なる風味や香り、健康効果を楽しむことができます。
緑茶や烏龍茶、紅茶、黒茶など、発酵の度合いによって味わいが変わるため、シーンに合わせて異なるお茶を楽しむことができますね。

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