【麹が生みだす酵素】

発酵食品

こんにちは、garesuです。

発酵食品をつくるうえで、麹には役割があります。

麹に含まれる麹菌は繁殖するときに酵素をつくりだしています

酵素のはたらきこそが麹の役割なのです!

たとえば、味噌や醤油にをつくるときに使われる黄麹菌(きこうじきん)から生成される酵素は、原料の大豆や小麦に含まれるタンパク質の分解を促します。

また、日本酒をつくるときに生成される米麹の酵素は米のデンプンを分解して、アルコール発酵に必要なブドウ糖をつくりだします。

幅広い分野で活用される酵素

麹、麹菌の活用は伝統的な発酵食品に終わらず医療品や飼料、食品加工といった産業分野に展開しています。

麹菌が生成する主な酵素のはたらきと私たちの生活とのかかわりを見てみましょう。

麹菌は米や麦などの穀物に繁殖し、さまざまな酵素を生成することで発酵を促進し、食品の風味や栄養価を高めます。

麹菌が生成する主な酵素とその働き

デンプン分解酵素 (アミラーゼ)

働き: アミラーゼはデンプンを分解して糖に変える酵素です。具体的には、デンプンをマルトース(麦芽糖)やグルコース(ブドウ糖)に分解します。

生活との関わり: 甘酒や日本酒の製造において、アミラーゼの働きでデンプンが糖に変わることで、甘みのある風味が生まれます。さらに、この糖がアルコール発酵の際のエネルギー源となり、発酵食品の甘みやコクを引き出します。

主な用途:製パン、製粉、乾物の加工、清酒、ビール、味噌、水あめ、ブドウ糖の製造、飼料、医療品(消化剤)など

タンパク質分解酵素 (プロテアーゼ)

働き: プロテアーゼはたんぱく質を分解してペプチドやアミノ酸にする酵素です。これにより、たんぱく質がより消化吸収しやすい形になります。

生活との関わり: 味噌や醤油の製造において、プロテアーゼがたんぱく質をアミノ酸に分解することで、旨味成分(グルタミン酸など)が生成され、深い旨味のある風味が生まれます。これが、味噌や醤油の独特の風味やコクの元となります。また、たんぱく質が分解されることで、消化吸収が良くなり、栄養価の高い食品が作られます。

主な用途:味噌、醤油、パン、菓子、チーズ、皮革工業、肉食の軟化、ビールや清酒の清登剤、医療品、飼料など

脂肪分解酵素 (リパーゼ)

働き: リパーゼは脂肪を分解して脂肪酸とグリセロールにする酵素です。脂肪の分解によって風味やテクスチャーが変わります。

テクスチャーとは‥

ここでの意味は、材料の質感や感触、特徴や表面の様子のことです。

生活との関わり: 醤油や味噌の製造過程でリパーゼが脂肪を分解することで、特有の香りや風味が生まれます。また、脂肪酸の分解により、食品の酸化が抑制され、保存性が向上する効果もあります。

主な用途:洗剤、消化剤、清酒醸造、乳化工品など

繊維分解酵素 (セルラーゼ・ヘミセルラーゼ)

セルラーゼはセルロースを分解する酵素の総称で、セルロースをグルコースにまで分解します。

働き: エンドグルカナーゼ: セルロース分子の内部を切断し、短いオリゴ糖鎖に分解します。

   エキソグルカナーゼ: オリゴ糖鎖の末端からグルコース単位を順次切り離します。

   β-グルコシダーゼ: セルビオース(二糖類)をグルコースに分解します。

生活との関わり:農業・土壌改良: セルラーゼは有機物の分解を促進し、土壌の有機物の循環を助けます。

       食品加工: 果汁の抽出効率を高めたり、ビールの濁りを抑えたりするために使用されます。

       洗剤: 衣類の汚れを分解しやすくするために、セルラーゼが添加されることがあります。

ヘミセルラーゼは、ヘミセルロース(セルロースと一緒に存在する多糖類)を分解する酵素です。

働き:植物の細胞壁に多く含まれるヘミセルロースを分解し、糖類(マンノース、キシロース、アラビノースなど)を生成します。

生活との関わり:食品加工: パンや焼き菓子の生地改良に使用され、食感を改善します。

        動物飼料: 家畜の消化を助けるために飼料に添加されることがあります。

        繊維産業: 紙や繊維製品の柔軟性や品質を向上させるために使用されます。

主な用途:セルラーゼ 穀物、野菜などの加工、果汁、飼料など
     ヘミセルラーゼ 消化剤、バイオマスの研究など

バイオマス

生物由来の再生可能な資源のこと。

イオマス・エネルギーともいいますよ。

ペクチン分解酵素 (ペクチナーゼ)

働き: ペクチナーゼは植物細胞の細胞壁に含まれるペクチンを分解する酵素です。ペクチンの分解により、食品が柔らかくなります。

生活との関わり: 醸造酒や果実酒の製造過程で、ペクチナーゼが果実のペクチンを分解することで、果汁の抽出が容易になり、発酵がスムーズに進みます。これにより、豊かな風味と滑らかな食感の飲料が作られます。

主な用途:ジュース、果実酒の清澄剤、野菜汁のペクチン除去、コーヒー豆のペクチン分解など

ナリンギン分解酵素(ナリンギナーゼ)・ヘスペリジン分解酵素(ヘスペリジナーゼ)

これらの酵素は、食品工業や栄養補助食品の開発において重要な役割を果たします。

働き柑橘類に含まれるフラボノイドであるナリンギンとへスペリジンを分解する酵素です。

生活との関わり:ナリンギン分解酵素は、特にグレープフルーツジュースなどの柑橘系飲料で使用され、ナリンギンを分解することで苦味を軽減します。

へスペリジンは血管の健康を保つために重要な役割を果たすことが知られています。

主な用途:ナリンギナーゼ 柑橘類の苦味除去など  ヘスペリジナーゼ 缶詰やジュースの混濁除去など

タンニン分解酵素 (タンナーゼ)

働き:タンニンと呼ばれる植物由来のポリフェノール化合物を分解する酵素です。

生活との関わり:タンニンは渋味成分として知られていて、紅茶、コーヒー、ワイン、柿など多くの植物性食品に含まれています。タンナーゼはこのタンニンを分解することで、食品の味や品質を改善する役割を果たします。

主な用途:ビールの清澄化、ワイン中の過剰なタンニンの分解、お茶の混濁防止や風味改善など

アントシアニン分解酵素 (アントシアナーゼ)

働き:アントシアニンと呼ばれる植物性色素を分解する酵素です。

生活との関わり:ブルーベリー、ブドウ、ナス、赤キャベツなど、多くの果物や野菜に含まれる自然の色素で、赤、青、紫などの色を呈します。これらの色素は抗酸化作用を持ち、健康に良い影響を与えることが知られています。

主な用途:果実ジャム、ジュース、色の濃いブドウ酒などから色素の一部を抜く、桃缶の赤色色素を分解、缶詰容器の変色防止など

いかがでしたか?

食品産業、健康食品、製薬産業など、さまざまな分野で重要な役割を果たしている酵素の存在。

適切に利用することで、私たちの生活の質を向上させることができるのですね!

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