【麹の原料 麹の製造工程】

こんにちは、garesuです。

麹ができるまでについてお話しをしますね。

原料

麹の原料は米、麦、大豆などの穀物です。

米を原料としたものを米麹

大麦など麦を原料としたものを麦麹

大豆、ひよこ豆、小豆など豆を原料としたものを豆麹とよびます。

米(米麹)

概要: 最も一般的な麹の原料で、日本酒、味噌、甘酒、醤油など多くの伝統的な日本食材の製造に使われます。

特徴: 米の甘みがあり、発酵によって米のデンプンが糖に変わり、優しい甘さと香りが出ます。

用途: 日本酒、味噌、甘酒、塩麹、醤油の製造に広く使われます。

麦(麦麹)

概要: 大麦や小麦を使った麹で、麦味噌や焼酎の製造に用いられます。

特徴: 麦特有の香ばしさがあり、風味が豊かです。麦の粒が大きく、発酵後に独特の食感を持つことが特徴です。

用途: 焼酎、麦味噌、麦を使った醤油などの製造に使用されます。

大豆(豆麹)

概要: 大豆を使って作る麹で、特に豆味噌の製造に使われます。

特徴: 大豆のコクがあり、濃厚な風味を持っています。たんぱく質が豊富で、深い旨味を引き出します。

用途: 豆味噌、特定の醤油製造に使われます。

その他の原料

そば(蕎麦麹): そばを使った麹で、そば焼酎の製造に使われることがあります。

とうもろこし(トウモロコシ麹): トウモロコシを使った麹で、稀に使われることがあります。

アワ・ヒエ: 雑穀を使った麹で、伝統的な製法や特定の地域で使用されることがあります。

製造工程

原料となる穀物を蒸したものに種麹(たねこうじ)を付けて、麹菌が繁殖しやすい温度の麹室(こうじむろ)で培養します。

種麹とは‥

麹菌を培養してできた胞子を乾燥させたものです。

麹づくりのスターターとして使います。

「もやし」ともよばれています。

では、一般的な米麹の製造工程を中心に、麹作りの手順を詳しくお話しします。
その他の穀物を使う場合も基本的な工程は同様ですが、原料の特性に応じた調整が必要です。

1. 米の準備

 米の洗浄: まず、白米をよく洗います。米の表面の汚れや不純物を取り除き、発酵がスムーズに進むようにします。

 浸水: 洗った米を水に浸けます。浸水時間は季節や米の種類によって異なりますが、通常は夏場で1~2時間、冬場で3~4時間程度です。米が適度に水を吸収し、均一に蒸せるようにするための工程です。

2. 蒸米(むしまい)

 蒸し: 浸水した米を蒸します。蒸すことで米がふっくらとし、麹菌が繁殖しやすい状態にします。通常、蒸し時間は40〜60分程度で、米の中心までしっかりと火が通ることが重要です。米の芯が残らないように均一に蒸すのがポイントです。

3. 種麹の接種

冷まし: 蒸した米を広げて冷まします。温度は40〜45℃程度まで下げることが一般的です。冷ましすぎると麹菌がうまく繁殖しないため、適切な温度管理が必要です。

種麹を振りかける: 冷ました米に「種麹」(麹菌の種)を均一に振りかけます。種麹は市販されているものを使うことが多く、米全体にムラなく行き渡るように混ぜ合わせます。

4. 麹室での培養

培養: 種麹を振りかけた米を「麹蓋(こうじぶた)」や「麹箱(こうじばこ)」に広げ、麹室(こうじむろ)という温度と湿度が管理された専用の部屋で発酵させます。温度は30〜35℃に保ち、発酵に適した環境を整えます。

切り返し: 培養中に数回、米をかき混ぜます(これを「切り返し」と呼びます)。これにより、米全体が均一に発酵し、温度が均等になるようにします。通常、切り返しは発酵開始から12時間後と24時間後に行われます。

盛り(もり): 培養開始から24〜36時間後に、米を小分けにして広げ、発酵の進行を均一にする作業を行います。これにより、温度が均等に保たれ、麹菌が米の表面全体に行き渡ります。

5. 麹の完成と冷却

完成: 培養開始から約48時間後、麹の表面が白く覆われ、香りが良くなり、甘い香りが漂うようになります。この段階で麹は完成です。米がしっかりと麹菌に覆われ、ふっくらとしていることが確認できます。

冷却: 完成した麹を冷ましてから使用します。冷ますことで麹の発酵を止め、品質を安定させます。

6. 麹の保存

保存方法: 完成した麹は、冷蔵または冷凍して保存します。冷蔵保存の場合、1〜2週間程度が目安です。長期間保存する場合は冷凍保存が適しています。

生麹(なまこうじ)と乾燥麹

どちらも米麹の一種ですが、保存方法や使用方法が異なり、風味や栄養価にも違いがあ 生麹(なまこうじ)

※麹菌の菌糸によって米粒同士がくっついて板状になって販売されていて「板麹」とも呼ばれているいます。

生麹(なまこうじ)

  • 概要: 生麹は、麹菌を米に繁殖させた後、乾燥させずにそのまま使用する麹です。発酵が終わった直後の状態で、湿気を含んでおり、生きた麹菌が活動しています。
  • 特徴:
    • 香りと風味: 生麹は麹菌が活発に活動しているため、甘い香りが強く、風味も豊かです。発酵力が強く、旨味や甘味を引き出す力に優れています。
    • 酵素活性: 高い酵素活性を持ち、デンプンやたんぱく質の分解力が強いです。これにより、発酵食品を作る際により深い味わいをもたらします。
    • 保存性: 生の状態であるため、保存期間が短く、冷蔵保存が必要です。通常、1週間以内に使い切ることが推奨されます。
    • 使用用途: 味噌、甘酒、塩麹、日本酒など、生の麹が求められる製品に使われます。
  • 利点:
    • 豊かな風味と香りを提供し、より新鮮な麹の力を享受できる。
    • 発酵力が強いため、発酵食品を作る際により短期間で成果が得られる。

乾燥麹(かんそうこうじ)

  • 概要: 乾燥麹は、生麹を乾燥させたもので、保存性を高めるために水分を取り除いています。乾燥することで麹菌の活動が一時的に停止し、保存期間が長くなります。
  • 特徴:
    • 香りと風味: 乾燥する過程で生麹ほどの強い香りや風味は少し失われますが、乾燥麹も十分に風味を提供します。
    • 酵素活性: 乾燥させることで酵素活性は一時的に抑えられますが、使用時に水を加えることで再活性化されます。
    • 保存性: 常温保存が可能で、保存期間が長く、数ヶ月から1年程度保存できます。湿気を避け、密封して保存するのが望ましいです。
    • 使用用途: 味噌、甘酒、醤油、塩麹など、様々な発酵食品の製造に幅広く使用されます。家庭で手軽に使用できるため人気があります。
  • 利点:
    • 長期間保存が可能で、必要な時にすぐに使える利便性がある。
    • 常温保存が可能で、取り扱いが容易。

生麹と乾燥麹の主な違い

特徴生麹乾燥麹
香りと風味強い、フレッシュ少し弱いが、十分に香りがある
酵素活性非常に高い水を加えることで再活性化する
保存性短期間(冷蔵保存で1週間程度)長期間(常温で数ヶ月〜1年)
使用用途発酵力が求められる食品向け幅広い用途で使用可能
保存方法冷蔵保存が必要常温保存が可能

生麹は、よりフレッシュな風味と強い酵素活性が特徴で、短期間で使い切る必要があります。新鮮な発酵食品を作りたい場合に適しています。

乾燥麹は、保存性に優れ、取り扱いが容易で、長期間の保存が可能です。家庭で手軽に使用できるため、幅広い用途に適しています。

いかがでしたか?

次は「麹が生み出す酵素」についてお話しをさせていただきますね。

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