こんにちは、garesuです。
ブランデーと聞くと、重厚で落ち着いた大人の飲み物というイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし、その奥深さと繊細な香りは、誰にとっても魅力的な存在です。
ブランデーは、主にぶどうなどの果実を発酵・蒸留して造られるお酒で、長期熟成により複雑な香味が生まれます。

ブランデーとは
ブランデー(Brandy)とは、果実(主にぶどう)を原料として造られる蒸留酒のことです。
語源はオランダ語の「brandewijn(焼いたワイン)」で、まさに「ワインを蒸留して造ったお酒」です。
蒸留酒であるブランデーは、蒸留の過程で糖質が除去されるため、低カロリーでプリン体も含まれません。

プリン体の正体‥プリン体は、旨み成分の一つとして知られています。味噌汁のだし、焼き魚、ビールのコク、こうした美味しさの中に、プリン体が関係しています。
しかし、プリン体は単なる味の素ではありません。ヒトの体内でも自然に生成され、分解されている物質で、細胞の活動やエネルギー代謝に関与する、重要な伝達物質の一つでもあります。
実際、食事から摂取するプリン体は全体の約20%程度で、残り約80%は体内で自然に作られているのです。

なぜプリン体が悪者のように扱われるのでしょうか?
その理由は、プリン体が分解されると「尿酸」という物質になるからです。尿酸が血液中に過剰にたまると「高尿酸血症」となり、最悪の場合「痛風」という激しい関節痛を引き起こすことがあります。
プリン体を全く摂らない生活は現実的ではありませんし、人体にも一定量必要な成分です。大切なのはバランスの良い食生活と体内での代謝の管理。プリン体の多い食品(内臓肉、魚卵、干物など)を大量に摂るのは避け、日常的な運動や水分補給を心がけることが重要です。
ブランデーに含まれるポリフェノールには、糖尿病合併症の予防や尿酸の生成抑制などの効果があります。
その他に、アンチエイジングなどの美容効果が高いことでも知られています。
ブランデー特有の芳醇な香りやポリフェノールは、貯蔵熟成される際の樽に由来するため熟成年数が長いほど高い効果が得られるとされています。
ブランデーの歴史
ブランデーの歴史 〜王侯貴族の酒から世界の銘酒へ〜
起源はフランス、コニャック地方
ブランデーの歴史は、16世紀頃のフランス西部・コニャック地方にさかのぼります。ワインの名産地であったこの地では、長距離輸送のためにワインを蒸留して濃縮する技術が生まれました。これが、ブランデーの原型です。
やがてこの蒸留酒が樽で熟成される中で、芳醇でまろやかな風味が生まれることが判明。当時の王侯貴族たちがこぞって愛飲し、ブランデーは「王の酒」と呼ばれる高貴な飲み物として広まりました。
発展と国際化

- 17〜18世紀:コニャックやアルマニャックの名が確立し、フランス国外でも人気が高まる
- 19世紀:ナポレオンや英国貴族の間でもブランデー人気が拡大
- 蒸留技術の向上:アルコールの品質や熟成管理が進み、ブランドごとの個性が形成
日本での歴史
日本には明治時代以降にブランデーが伝わり、戦後にはサントリーやニッカなどが国産ブランデーを本格生産。
日本の果実や風土を生かした繊細な味わいが特徴で、国内外で高い評価を得ています。
ブランデーの種類
生産地と原料に分けて表でお伝えします。
生産地によるブランデーの分類と特徴
地域 | 名称・タイプ | 主な特徴 |
---|---|---|
フランス(コニャック地方) | コニャック | 最も有名で格式高いブランデー。華やかで滑らかな味わい。 |
フランス(ガスコーニュ地方) | アルマニャック | コニャックより素朴でコクがあり、熟成の奥行きが深い。 |
フランス(ノルマンディー地方) | カルヴァドス | りんごを原料としたブランデー。フルーティーで爽やか。 |
スペイン | ブランデー・デ・ヘレス | シェリー樽で熟成される、やや甘く濃厚な味わい。 |
イタリア | グラッパ(派生形) | ぶどうの搾りかすから造られた独特の風味の蒸留酒。 |
ドイツ | ドイツブランデー | 軽快でバランスのとれた味わい。フルーツ系が多い。 |
アメリカ | アメリカンブランデー | ぶどうやりんごを使い、やや甘口で飲みやすい。 |
日本 | 国産ブランデー | 繊細で柔らかい味わい。洋ナシやぶどうベースが多い。 |
生産地が違えば、使用する果実や気候、樽の種類、蒸留技術も異なり、風味や香りに大きな差が出ます。
その土地の文化や伝統がブランデーの個性に深く影響を与えます。
原料によるブランデーの分類
分類名 | 主な原料 | 特徴・風味 | 主な例・産地 |
---|
グレープブランデー | ぶどう | 最も一般的なブランデー。芳醇でまろやか。長期熟成に向く。 | コニャック、アルマニャック(フランス) |
アップルブランデー | りんご | フルーティーで爽やか。軽快な飲み口。 | カルヴァドス(フランス) |
ペアブランデー | 洋ナシ | 優しい甘みと繊細な香り。デザートに合わせやすい。 | ウィリアムポワール(フランス・スイス) |
チェリーブランデー | さくらんぼ | やや酸味があり、軽やかで香り豊か。 | キルシュ(ドイツ・スイス) |
プラムブランデー | プラム | 甘く芳しい香りと深み。 | スリヴォヴィッツ(東欧諸国) |
ミックスフルーツ系 | 果実複数 | さまざまな果実の風味が混ざり合う複雑な味わい。 | 一部の国産ブランデーなど |
ブドウ以外に、リンゴや洋梨を原料としたフルーツ・ブランデーもあります。
アップル・ブランデーやペア・ブランデーと呼ばれています。
フランスのノルマンディー地方でりんごからつくられるブランデーはカルヴァドスと呼ばれ、原産地呼称保護制度の対象となっています。

原料によって香りや飲み口がまったく異なるため、料理やスイーツとの相性も変わります。
ブランデーの製造工程
収穫
- 主にぶどうを使用(カルヴァドスではりんご)
- 完熟した果実を選び、手摘みされることも多い
醸造
- 果汁を搾り、自然または培養酵母で発酵
- 約1〜2週間で果実酒(ワイン)が完成
蒸留
- 発酵させた果実酒を銅製のポットスチルや連続式蒸留器で加熱
- アルコール成分を分離・濃縮して透明な蒸留酒(原酒)を得る
- コニャックなどは二回蒸留が基本
熟成
- 蒸留された原酒をオーク樽で数年~数十年熟成
- 木の香りや色、まろやかさが加わる
- 熟成の長さにより「VS」「VSOP」「XO」などの等級が決まる
ブレンド
- 複数の原酒を調合し、一貫した味わいを作り出す
- 熟練のブレンダーが品質を調整
瓶詰め・出荷
- 最終調整後に瓶詰めされ、世界各地へと届けられる
ブランデーの味わいは、「果実の質・蒸留方法・樽の種類と熟成期間」で決まります。

いかがでしたか?
ブランデーは非常に手間と時間をかけて造られるお酒です。
まさに「飲む芸術」と呼ばれるにふさわしい存在ですね。
参考文献
「発酵食品ソムリエ講座テキスト1 伝統的な和食と日本の発酵文化」U-CAN
「発酵食品ソムリエ講座テキスト2 世界にひろがる発酵食品と健康」U-CAN
「発酵食品を楽しむ教科書」 ナツメ社