【免疫とアレルギーについて】

身体

こんにちは、garesuです。

免疫とは何か?は前回にお伝えしました。
アレルギーとは?についてお伝えしますね。

アレルギーとは?

アレルギーとは、本来は無害な物質(花粉、食べ物、ハウスダストなど)に対して免疫細胞が過剰に反応し、攻撃する必要のないものまで攻撃してしまい体に不快な症状を引き起こす状態です。
このとき反応を引き起こす物質を「アレルゲン」と呼びます。

アレルギー反応のタイプ

即時型アレルギー(Ⅰ型):花粉症や食物アレルギー、喘息など。IgE抗体が関与。

遅延型アレルギー(Ⅳ型):接触性皮膚炎など。T細胞が関与。

アレルゲンの主な種類

1 吸入性アレルゲン(空気中に含まれるもの)

カビの胞子

花粉(スギ、ヒノキ、ブタクサ、ヨモギなど)

ハウスダスト(ダニ、ホコリ、カビ)

動物の毛やフケ(犬、猫、小動物など)

2 食物性アレルゲン

卵、牛乳、小麦、そば、落花生、エビ、カニ など
(日本では「特定原材料」として食品表示が義務付けられています)

3 接触性アレルゲン

・植物(ウルシなど)

・金属(ニッケル、コバルトなど)

・化粧品や洗剤の成分

4 薬剤性アレルゲン

・解熱鎮痛薬(アスピリンなど)

・抗生物質(ペニシリンなど)

5 昆虫・その他

・ラテックス(天然ゴム)

・ハチ、ゴキブリ、ムカデの毒

アレルギーが体内に入り込むと免疫細胞(B細胞)は異物を排除するための抗体をつくります。
抗体は血液にのって全身へ運ばれて、皮膚や粘膜の表面にあるマスト細胞(肥満細胞)とよばれる細胞と結合して、次のアレルゲンの侵入に備えます。
そこへアレルゲンが再び侵入して抗体と結びつくとマスト細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出されます。
この物質が、痒みなどの症状を引き起こす原因となるのです。

免疫の暴走

免疫システムの本来の役割は、体内に侵入した病原体(ウイルス、細菌など)や異常な細胞(がん細胞など)を排除し、健康を守ることです。
しかし、何らかの原因でこの免疫機能が過剰に反応したり、誤作動を起こすと、自分自身の細胞や組織を攻撃してしまうことがあります。このことを一般的に「免疫の暴走」と表現します。

免疫システムが崩れてしまって発症する病気には、アレルギーの他に潰瘍性大腸炎クローン病などの自己免疫疾患があります。
アレルギーには遺伝的な要因のほかに環境的な要因もあります。
ここ数十年の間に急増している原因として、食品の影響(インスタント食品・ファストフード)、環境汚染、ストレス増加などが関係していると考えられています。

クローン病:口から肛門までの消化管のどこにでも炎症を起こす慢性の自己免疫性腸疾患(炎症性腸疾患:IBD)です。


免疫の暴走が引き起こす代表的な病気

サイトカインストーム

強力な免疫反応により、大量の炎症性サイトカインが一気に分泌される現象。重症のウイルス感染症で見られることがあります。

  • 症状:高熱、血圧低下、呼吸困難、多臓器不全
  • 原因:体が過剰に病原体と戦おうとするため、正常な細胞まで傷つけてしまう。

自己免疫疾患

自分の正常な細胞や組織を「敵」と誤認し、攻撃する病気の総称。

  • 例:
    • 全身性エリテマトーデス(SLE)
    • 関節リウマチ
    • 1型糖尿病
    • 橋本病
  • 原因:遺伝的素因や環境要因(感染、ストレスなど)が関与

アレルギー疾患

アレルゲンという無害な物質に対して免疫が過剰に反応するもの。

  • 花粉症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、食物アレルギーなどが該当
  • 免疫が必要以上に働くことにより症状が発生

なぜ暴走が起きるのか

遺伝的な免疫制御の異常

ウイルスや細菌感染による刺激

極端に清潔な環境(衛生仮説)

ストレスや不規則な生活習慣

腸内環境の乱れ(腸内フローラの変化)

免疫の暴走を抑える

免疫の暴走を防ぐために存在するのが、制御性T細胞(Treg:Regulatory T cell)です。

制御性T細胞(Treg)とは

制御性T細胞は、T細胞の一種であり、免疫反応を抑制する役割を持ちます。

過剰な免疫反応の抑制

自己免疫の防止(自己組織を攻撃しないように調整)

炎症のコントロール

アレルギー反応の緩和

Tregは(Tレグ細胞)は、免疫システムのブレーキ役として、アレルギーや自己免疫性疾患の発症を防いでいるのです。

Tレグ細胞(制御性T細胞)とクロストリジウム属菌(Clostridium属細菌)との関係は、近年の腸内細菌研究において非常に注目されている分野です。特に、腸内の免疫寛容や炎症制御において両者が深く関わっていることが明らかになってきています。
腸内のクロストリジウム菌は、食物繊維をエサとして酪酸を生成します。酪酸が腸壁の免疫細胞に作用することで、Tレグ細胞が生まれます。

酪酸:腸内細菌が食物繊維を発酵して作る短鎖脂肪酸の一種
ポイントとして
・腸内の善玉菌(特にクロストリジウム属菌)が産生
大腸のエネルギー源として腸粘膜を保護
・Tレグ細胞を増やし、免疫のバランスを整える
抗炎症作用があり、アレルギーや腸の炎症を抑える
酪酸は「腸と免疫を守る、腸内細菌が作る天然の抗炎症物質

私たち日本人は昔から野菜、果物、きのこ、海藻など、食物繊維を豊富に含んでいる食品を日常的に食べていました。
食生活が洋風化になり、この数年で食物繊維の摂取量は大幅に減りました。この事とアレルギーやクローン病などが年々増えていることは、無関係ではないと考えられます。

いかがでしたか?

私が発酵食品ソムリエの勉強をした理由の一つとして、身近にいる方々が何らかのアレルギー体質であったり、便秘で苦しんでいたりと日常生活において辛い思いをしています。その方々に少しでも改善できる方法をお伝えできればいいと思ったからです。
人の身体は毎日の食事でできている!と学びました。
参考になることをお伝えしていきますね。

次回は腸内細菌とがんについてお伝えします。

参考文献
「発酵食品ソムリエ講座テキスト1 伝統的な和食と日本の発酵文化」 U-CAN
「発酵食品ソムリエ講座テキスト2 世界にひろがる発酵食品と健康」 U-CAN
 

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