こんにちは、garesuです。
日本が世界に誇る蒸留酒、焼酎についてお伝えします。

焼酎は、米、麦、芋、黒糖、そばなど多彩な原料を使った日本の蒸留酒です。 アルコール度数は一般的に20〜25度前後で、地域や銘柄によって個性豊かな味わいを楽しめます。
もともとは南九州地方(特に鹿児島・宮崎)で広まり、日本全国に愛される存在となりました。
連続式蒸留焼酎(旧甲類焼酎)と単式蒸留焼酎(旧乙類焼酎)と大別されています。
単式蒸留焼酎は本格焼酎ともよばれています。
焼酎の歴史
焼酎の歴史は、15世紀ごろに南九州で泡盛技術を応用して作られたことに始まります。
戦国時代の文献にも”焼酎”という言葉が登場しており、長い年月をかけて日本文化とともに発展してきました。

日本最古の焼酎の記録
現存する最も古い焼酎の記録は、1546年(天文15年)のものです。
具体的には、鹿児島県の伊佐地方にある「郡山八幡神社」に残されている「焼酎の落書き」が最古の記録とされています。
この落書きには、大工たちが「ここの領主はケチで焼酎も飲ませてくれなかった」と不満を書き残しており、そこに「焼酎」という言葉が登場しています。
これは、焼酎が当時すでに一般庶民にも知られていたことを示す大変貴重な資料です。
焼酎の製造技術は、東南アジアから琉球(沖縄)を経由して九州に伝わったとされ、南九州を中心に発展していきました。
焼酎は500年近くもの長い歴史を持つ、日本を代表する伝統的なお酒なのですね。
焼酎の種類と特徴
本格焼酎(単式蒸留焼酎)
- 原料の風味や個性がそのまま生きています。
- 芋、麦、米、黒糖など、素材ごとの味わいが楽しめます。
甲類焼酎(連続式蒸留焼酎)
- クセが少なく、クリアな味わい。
- チューハイやサワーなどのベースに最適です。
焼酎の原料
水

焼酎造りには、良質な水が不可欠です。
米などの原料の洗浄、浸漬、仕込み、割水、洗浄、冷却などに使われます。
完成品の1リットルあたり20〜25リットルの水が必要です。
特に軟水(ミネラル分が少ない水)が好まれ、発酵を穏やかに進め、まろやかな焼酎に仕上げます。
たとえば鹿児島や熊本の焼酎の多くは、霧島山系の伏流水を使用しています。水の違いが、香りや口当たりにも大きく影響します。
米(米焼酎)
米を原料にした焼酎は、上品で柔らかい甘みとふくよかなコクが特徴です。
- 特に有名なのが、熊本県人吉・球磨地方の「球磨焼酎」で、これは地理的表示(GI)にも登録されています。
- 酒米ではなく、一般的な食用米を使用することも多いですが、香りを立てるために吟醸酒用の酒米を使う蔵元もあります。
- 洗練された味わいなので、日本酒ファンにも人気です。
- 国産の古古米や破砕米を使用することもあります。

大麦(麦焼酎)
麦を使った焼酎は、香ばしく軽快な香りと、すっきりとした後味が魅力です。
- 大麦の種類は二条大麦と六条大麦が使われます。
- 大麦を使った蒸留酒はウイスキーと同じですが、大麦のデンプンを糖化させる際にウイスキーは麦芽を使いますが、麦焼酎は麹を使います。
- 大分県の「いいちこ」や「二階堂」などが有名ですね。
- 麦を焙煎して香ばしさを強めたものもあり、特にロックや水割りで楽しむ人が多いです。
- クセが少ないので、焼酎初心者にもおすすめです。

さつまいも(芋焼酎)
さつまいもを使用する芋焼酎は、独特の甘い香りと深いコクが特徴。

- 鹿児島県を中心に発展し、銘柄も非常に豊富です。
- 代表的な品種はデンプンの原料としてつくられていたコガネセンガン。
- 伝統的な「白麹仕込み」のほか、香りを軽くする「黒麹仕込み」も人気。
- 焼酎ブームを牽引した原動力であり、炭火焼き料理や豚骨料理との相性が抜群です。
- 芋焼酎の香りが苦手な人向けに、すっきり系の芋焼酎も増えています。
そば(そば焼酎)
そば焼酎は、やさしい香りとさっぱりとした飲み口が特徴です。
- 主に宮崎県や長野県で生産されます。
- 蕎麦の独特な香りや風味がある焼酎。
- 麦や芋ほど主張が強くないので、食事と合わせやすく、和食との相性も抜群。
- そばを使うため、アレルギーがある人は注意が必要ですが、香り豊かな一杯を楽しめます。
単式蒸留焼酎の製造工程
単式蒸留焼酎(たんしきじょうりゅうしょうちゅう)は、日本独特の蒸留酒で、「本格焼酎」とも呼ばれます。
その製造工程は、素材の味や香りを活かすためにとても繊細で伝統的です。
原料の準備
- 使用する原料は、米・麦・芋(さつまいも)・黒糖など。
- 原料を洗浄・処理して、仕込みに適した状態にします。
麹(こうじ)づくり
- 米や麦に黒麹菌や白麹菌、黄麹菌を繁殖させ、麹を作ります。
- 麹は、原料のでんぷんを糖に分解する重要な役割を持ちます。
一次仕込み
- 麹、水、酵母をタンクに入れ、一次もろみを作ります。
- ここで酵母が糖分をアルコールに変える「発酵」が始まります。
二次仕込み
- 一次もろみに、さらに原料(芋や麦など)と水を加え、二次もろみを仕込みます。
- 二次発酵が進み、アルコール濃度が高まります。
単式蒸留
- 発酵が終わったもろみを単式蒸留機(ポットスチル)で一回だけ蒸留します。
- これにより、原料の個性的な香りや味わいを残したまま、アルコール分を抽出します。
貯蔵・熟成
- 蒸留後、焼酎はタンクや甕(かめ)で貯蔵され、味をまろやかにします。
- 熟成期間は数ヶ月から数年に及ぶこともあります。
製品化
- 最後にろ過や加水(アルコール度数を調整)を経て、瓶詰めされ、製品として出荷されます。

単式蒸留は一度きりの蒸留なので、原料の風味が強く出ます。
日本の法律では、アルコール度数45度未満のものを「本格焼酎」と定義しています。

いかがでしたか?
単式蒸留焼酎は、日本が誇る伝統的な蒸留酒であり、素材の香りと味わいを大切に受け継いできた文化の結晶です。
工程の一つ一つに職人さんたちの技と情熱が込められており、その深い味わいは飲む人の心を癒してくれます。
日本の味を楽しんでみてくださいね。
参考文献
「発酵食品ソムリエ講座テキスト1 伝統的な和食と日本の発酵文化」U-CAN
「発酵食品ソムリエ講座テキスト2 世界にひろがる発酵食品と健康」U-CAN
「発酵食品を楽しむ教科書」 ナツメ社